資産形成

保険で貯蓄の罠 〜保険商品の利回りと他の投資商品の利回り比較したことありますか?〜

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保険の保障がついて、満期には払込み済みの元本+αが返ってくる保険商品があります。銀行預金より利回りも良いですし、貯蓄と思って、余裕資金で購入しませんか。

というような話を保険の販売員や銀行員に勧められたという経験はありませんか。

答えはNo。

貯蓄と思って保険を購入するのはオススメできません。

まとめ

    • 保険の運用利回りは、他の投資商品より悪い
    • 保険は、保険料払込期間満了前に解約すると元本が毀損する
    • ただし、保険には確定利回りというメリットがある

目次

『保険で貯蓄』の意味
〜保険の返戻金を目当てにした貯蓄のリスク〜

保険が貯蓄になるというセールストークの意味

保険が貯蓄になる、というのはどういう意味なのでしょうか。

このセールス文句と共に受けた説明は、以下のようなものではありませんでしたか?

解約返戻金のある生命保険を買えば、払込み期間満了時に受け取れる解約返戻金が払い込んだ保険料の総額よりも多くなるので、実質タダで保険の保障が手に入ります。さらに、解約返戻金は払い込んだ保険料総額より多くなるので貯蓄にもなるのでお得です。

解約返戻金の仕組み

保険料は保障部分(の費用)と貯蓄部分(の費用)で構成されています。

貯蓄部分が無い保険を「掛け捨て」保険と呼んだりします。

解約返戻金とは、この貯蓄部分として払い込まれた保険料を保険会社が運用して、その運用益から経費を引いた部分のことを言い、保険契約者から保険解約の請求があった場合に保険契約者に返金する金額となります。

この貯蓄部分の運用益が保障部分の費用をカバーできている場合に、『実質タダで保険の保障が得られる』というセールス文句が成立するのです。

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保険で貯蓄の罠その1 〜保険の運用利回りは投資商品と比べて決して高く無い〜

『実質タダ で保険の保障が手に入る』を別の表現をすると、『保険の貯蓄部分の運用益で保障部分のコストを賄える』ということです。

ここで考えるべきなのは、上記のような保険の利回りと、貯蓄部分として払い込む保険料を別のものに投資して得られる利回りとどちらが良いか比較することです。

投資成績が安定すると言われている長期投資・分散投資の一例として、以前紹介した資産クラス別の利回りと比較してみましょう。

リーマンショック直前に投資した場合でも日本株の年平均成長率は2.3%でした。

30年間毎月1万円ずつ日本株に投資した場合の投資総額は360万円で、これが年平均2.3%で複利で運用できた場合、30年後には534万円になっています。

つまり、日本株を対象とする投資信託で30年間運用していた場合の表面利回りは148%なのです。

(リーマンショックの影響をもろに受ける前提なので、十分に保守的な数字と言えるでしょう。)

一方、保険の運用利回りはどの程度なのでしょうか。

例えば、以下のサイトに記載されている利回り(=返戻率)の高い保険を見てみると以下のようになります。

返戻率って何?返戻率の高い保険はココ!おすすめの終身保険5選 | 保険ブリッジ

オリックス生命 終身保険 RISE

30歳から60歳まで総額6,616,800円払い込んで、解約返戻金が7,712,600円。表面利回り(=返戻率)は116.5%です。

東京海上日動あんしん生命 長割り終身

同様に30歳から60歳まで総額7,016,400円払い込んで、解約返戻金が7,920,000円。表面利回り(=返戻率)は112.9%です。

こうやって見ると保険の利回りって低いと思いませんか??

(一般的な投資には元本の保障は無いですが、保険には解約返戻金が確定している、というメリットはあります。)

保険で貯蓄の罠その2 〜保険料払い込み期間中に解約すると大きく損をする〜

保険が貯蓄としてオススメできないもう一つの理由は、『中途解約をすると損をする設計になっている』ことです。

以下は、支払った保険料と解約返戻金が、保険料を払った期間によってどのような関係になっているか示したものです。

一般に、払込期間満了まで、解約返戻金は払込済の保険料より少ないです。従って、払込期間満了前に、保険を解約すると損します。

通常の投資には無い性質ですので、このような仕組みで問題無いか、すなわち、払込期間満了前に保険を解約する可能性は無いか、保険による貯蓄を考えている方は、よく考えておく必要があります。

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保険で貯蓄をする場合のメリット 〜確定利回り〜

保険の解約返戻金は、ご説明したように他の投資商品より利回りが悪いとか、払込期間満了前に解約すると不利であるとデメリットもありますが、それらを許容できるなら、一般に解約返戻金の金額が確定しており(していない商品もありますので、契約する際は良く確認してください)、確定利回りの投資商品として考えることもできます。

保険を利用する場合の大きなメリットとして、相続税の節税という強力なメリットがありますが、これは既に大きな資産をお持ちの方にのみ関係する話ですので、ここでは割愛します。

 まとめ

  • 保険の運用利回りは、他の投資商品より悪い
  • 保険は、保険料払込期間満了前に解約すると元本が毀損する。つまり、20年とか30年とかの長期にわたり、資金が凍結されてしまう
  • 保険には、保険料払込期間満了前に解約しない前提なら、確定利回りというメリットがある



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